物流倉庫を見せてあげてよ

 

現場に新入社員が入って来る季節になりました。

 

今から数年前、私はあるネットショップの、
お客様サポートチームの指導を任されました。
指導期間は半年間でしたが、その間、
派遣スタッフの新人さんを2名入れたので、
基本研修を依頼されました。

 

が、その前に。

 

私は、「彼女たちにぜひ物流倉庫を見せてあげて欲しい」
と言いました。

 

なぜなら、その会社さんのオフィスは街中にあり、
20名ぐらいのウェブデザイナーの男女がPCに向かっているような、
ちょっとオタクっぽい雰囲気がある窮屈な場所ですが、
郊外に広大な物流倉庫を持っており、
それを見るだけでも、その会社の業務の規模が、
それなりに大きくて、実力があるショップであることが、
ひと目でわかるからなんですよね。

 

新人の派遣スタッフの女性2名は、
その街中の狭いオフィスのほうで、
数名の先輩たちに混ざって電話応対をしながら、
1日3回の出荷作業(PC操作)に携わるわけですが、
あの広大な倉庫を見たら、お客様の多さも実感できるし、
楽天やAmazonで人気のあるお店の
お客様サポートを担っているという事実と責任が、
感覚的に理解できるのではないかと思ったんです。

 

ですが、残念ながら答えはNOでした。

 

理由は、もう派遣契約がスタートして、
時給が発生しているので、
工場見学に時間を費やすわけにはいかない、
というものでした。

 

うーん、残念ですが、仕方ないね。

 

なぜ、こんなことを書くかと言えば、
中小企業の社員の皆さんって、
自分の職場の中という狭いテリトリーで、
限定的な仕事をしているせいか、
自社製品や自社のサービスが、
世の中とどうつながっているのか、
よくわかっていない人が、ものすごく多いんですよ。

 

特に、部品をつくるような製造業だと、
CADデータだけが、大手のメーカーから、
ボンっと単独で送られてきて、
「〇月〇日までこれを〇個作れ」という、
有無を言わせない仕事の入り方なので、
それも仕方ないとは思いますけれど、
それにしちゃ、自分たちが、
いったい誰のために何を作っているのか、
無関心の人が多すぎます。

 

ま、彼らが職人気質だった場合は、
いかに精度の高い製品を仕上げるか?だけに
全精力を傾けているので、
それはそれで「あり」ですが、
この世の中のどの部分で、
誰にどう貢献しているのかがわからないと、
仕事にも誇りが持てないと思うし、
やる気の高低にも関わってくると思うんです。

 

で、何を隠そう、私自身が、
先に書いたお仕事をいただいた時に、
こんな、だだっ広い物流倉庫を持つネットショップさんの、
お客様対応指導を依頼されたことに、
うれしさと誇りを感じて、頑張ろうと思ったわけです。

 

なので、派遣スタッフと言えども、
今後の意欲や定着率のためにも、
あの倉庫はぜひ見せて欲しかったなぁ、と、
思うわけです。

 

新人さんが現場にやって来る季節になりました。

 

皆さんにとっては、見慣れた当たり前の風景でも、
新人さんにとって、思い切りテンションがあがる景色も、
きっとあると思うんです。

 

面倒がらずに、そういった風景を見せてあげて、
ぜひ、新人さんのモチベーションアップに、
役立てて欲しいと願わずにはいられません。

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