ノルマを毛嫌いする小さな販売会社の社長

 

私の仕事先に、小さな販売会社があります。
社員は数名で、サプリメントを扱っていますが、
紹介者やお試し利用で購入を決めたお客様にしか、
売らない仕組みを採っているため、
ホームページを見ても、売るための文言はなく、
商品の掲載はあるものの、一見販売会社とは、
わからない感じです。

 

そこ社長さんから、
若い営業マンが一向に育たない、というご相談を受けて、
昨年から人材育成のお手伝いをしています。

 

若い営業マンさんは、そんなに悪くないですよ。

 

ただ、この若い2名に対して、
営業をきちんと教える人が誰もいないので、
本人たちも、いまだ何をしてよいかわからないし、
既存客からご紹介があれば、
そこに行って説明して、戻って来る、
という感じです。

 

社長さんの方針で、担当者制は採用しておらず、
「一人のお客さんに全員で対応」という方針ですが、
そうなるとお客さんは、
気心が知れていて、知識も豊富な、
社長さんや副社長さんに会いたがるので、
2名の若者は、一向に独り立ちできていない感じでした。

 

何度かご訪問してわかったことは、
この会社さんには、個人的な数値目標がないんです。

 

といっても、紹介者のサポートが手一杯で、
新規開拓はほとんどありませんし、
担当制じゃないので、自分の売上という概念もない。

 

私はこれだと、営業マンは、
自分の実績や貢献度がなかなかつかめないので、
どんなことでもかまわないので、
数値目標を設定すべきでは?と話しました。

 

すると、
「ノルマで人を煽るのは嫌いなんだよ」
というお返事。

 

うーん、そういうことではないんです。
(ノルマは私だって、嫌いだよ(笑))

 

私が伝えたかったのは、
何をもって、本人が「やった!」「でかした!」と、
喜びを感じ、成長を感じ、手ごたえをつかめる、
基準値がないと、成長も見込めないと思うんですよね。

 

今のままでは、
自分がイケているのかいないのかもわからないし、
上から「そうじゃない」とお叱りを受けることも多いですし、
総じて、「言われたことをやっていればいい」という、
受け身の発想に至り勝ちだと思うんです。

 

ですが、「今月はこのぐらいやって欲しい」と言われれば、
普通の人なら、どうすれば達成できるのか、
少しは自分で考えますし、新しいことをやってみようか、
などとアイデアも浮かぶものです。

 

数字は、人を締め付けるものではなく、
本人が自分が今いる場所を知るための、
指標という捉え方でいいと思うんですよね。

 

でなければ、動きようがないですもん。

 

でも、やっぱり、
「そういうのはやりたくない」って言うんです。
だから、新規顧客獲得のグラフ化も、
却下されました・・・

 

*    *    *    *

 

営業の現場であれば、個人目標は必須だと思います。
会社全体の目標だけでは、人は動かないよ?
かくいう私も、営業職だった頃は、
ぜいぜい息切れしながら、高い目標値を恨みながらも、
達成した時の喜びはひとしおで、
1週間ぐらいはうれしかったし、
いい活力になりました。

 

ですが、そんなごく当たり前の発想に、
強い拒否感を感じるのは、
この社長さんにきっとなにかの
背景があると思うんですよね。

 

この社長さんは、お父様から会社を継いだ2代目ですが、
たとえばお父さんが社員に厳しいノルマを課していたとか、
自分も課されて辛かったとか、
ご自身がたとえば違う仕事だった時に、
数字、数字、で追われて、非常に嫌な思い出があるとか。

 

だから私は、この社長さんは、
反発と、「そんな人にはなりたくない」思いと、
社員を苦しめず、敬意を払われる経営者でありたい思いが、
ちょっと強いんじゃないかな?なんて推測しています。

 

そのあたりのご自身の思いにもし自分で気が付いたら、
いまのような、アレルギーっぽい反応は、
随分なくなるんじゃないかと思っているので、
今度あったら、さりげなく、探りを入れてみようかと、
戦略を練っているところです(笑)

 

穏やかでバランス感覚のある社長さんで、
決して変わった方ではありませんが、
極端な考えやこだわりには、必ず理由があるので、
そこをつかみたいですね。

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