社員が育たない会社の特長は社長の自己実現の方向性が社益に合わない

最近気が付いたことがあります。

それは、「社員が育たない」「人材育成がうまくいっていない」中小企業の原因は、やっぱり社長にあるということです。


昨年、お手伝いした会社さんの中で、A社の社長さんもB社の社長さんも、教えたがりの傾向が強くて、いずれも社員は日常的にウンザリしていました。

A社の社長とB社の社長は、年齢もキャラクターもそこそこ違いますが、共通するのは、打ち合わせが独演会になってしまうこと。

A社の社長さんは、打ち合わせの時に社員が何か提案すると、社長が瞬時に「それは違うでしょ?いいですか?皆さん?〇〇というのはですね・・・」と、ホワイドボードを引っ張り出してきて、図解付きのレクチャーモードに入ってしまうので、ゲンナリ・・・


ここで考えてみたいのですが、これらの社長さん達は、なんで極度の「教えたがり」なんでしょうね?

私はそこに、社長さん達の自己実現への渇望感を感じてしまいます。


A社の社長さんは3代目、B社の社長さんは2代目です。


私が見たところ、A社の社長さんは家業がそんなに好きって感じでもないですが(他の人は気が付かないが私は感じる)、周囲に尊敬されたい気持ち(本人が気づいていない深層心理)は人一倍強いと思います。ですがそれが会社や社員の利益と一致しないので、なんとなくみんなに切り捨てられちゃっている感じ?

いくらランチェスター戦略とかパレートの法則とかをかざしたって、現場で汗水流して作業している社員は、その高みからの説明なら絶対ついて来ないって。

彼が本当(精神的に)になりたいのはたぶん、コンサルタントやマーケッターなんだよね。だからそっち系の別会社をつくっちゃったりしますが、元々がそれほどセンスがある人でもないので、そっちもイマイチうまくいっていません。

それに、常に自分たちと真正面から向き合ってくれず、いつも違う方向ばかり向いている社長を社員はどう思うのだろう・


B社の社長も同様に、教えすぎ、説明しすぎ、語り過ぎの三点セットが逆に社員のモチベーションを落としていると思いますが、逆にそれは自分の信条や成功体験に合わないことを社員がやったら、速攻却下するということですよね。で、実際にそうなので、社内では「何も言わないのが一番傷つかないやり方」という雰囲気になっています。

とにかく話が長いので、みんなは朝礼や終礼や打ち合わせが大嫌い。男性は上下関係に従順なのでそれほど大きな不満が出てきませんが、女子チームはすごいよ、「早くやめてほしいから、わざとあくびをしたり、質問にも答えないで完璧に無視」しているっていうけど、同じ女性として、わかるそれ!(笑)


A社の社長とB社の社長(実際はここに書かない数社)に共通することは、自分の内面に存在しない他人(社員)の価値観を断固受けれないことで、突き詰めて言えばそれは、社員の発案や任せたプロジェクトの成功を喜ぶよりも「俺を認めてくれ」のひとことにつきると思います。

でもさ、それをベースに動いているうちは、会社は成長しないんだよ。だって、社長たちが目指しているものが、会社の売上ではなく自分の自己実現なのだから。

これらの社長さん達は、人に仕事任せることができません。自分の思い通りに進まないと嫌なんです。

ですが、世代交代が順調で社員育成が上手く行っている会社の社長さんは、権限移譲がすごく上手です。一度任せたらプロセスを問わずに結果だけを問う手法が多いです。反対に、うまくいっていない会社の社長さんは、プロセスにいちいち細かく突っ込みを入れる方が多いです。


A社の社員もB社の社員も等しく口にしている言葉は「もっと私たちを信じて最後まで任せてほしい。途中であれこれ突っ込みが入ってひっくり返ることがあり過ぎて、こっちだって指示待ちにならざるを得ない」というものです。

小さな事なら、手慣れた社員に一任してしまい、ご自身はほかの社長業に集中した方が、ずっと会社の利益になるはずなのに、それができないのは、完璧に会社の業務効率や利益よりも、自分の気持ちを優先してしまっているということですよね。

「任せる」ことができないのは、社員を信頼していない証拠だし、自分がいいと思う方法を踏襲してほしいという強い自我だし、「自力で経験させて成長させる」という大きな見地からの子育て感覚もない、ということになるので、やっぱりそういう社長には、社員は付いていかないんだわ。

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