10.出版詐欺?~本の話は一切出なかった打合せ~

前回からのつづきです)

「先生を囲む会」が散会した後、同じお店で大テーブルの席から4人掛けのテーブル席に移動して打合せ。

この打合せは本来、Tさんが私に発注する仕事に関する打合せだったのですが、同席している先生に遠慮したのか、または、打合せできるぐらいのネタがそのときはまだなかったのか、仕事の打ち合わせ自体は「今度詳細をメールで送るから」のひとことで、あっけなく終わってしまいました。

あ、その前に、席を移動してすぐ、名刺交換をしたんだった。いや、正確には「交換」じゃなく、こちらが渡しただけです。そう、私はこのとき、先生から名刺をもらっていないんですよ。「忘れたか」のか「切らした」のか「後で送る」と言ったのかは残念ながら覚えていませんが、何か言い訳は言ったような気がします。

これも今思えば、ですけど、「名刺をいただいていない方にはお支払いできません」という断り方もあったなーと思って。または、振り込む前に「名刺を送ってください。届いたら振り込みます」と言って、送って来なければその時点でパスするとかね。名刺があればそれでいいというものではありませんが、人を介して会うのに名刺を切らすというのは、今考えると私に対して失礼ですw

ただねー、知人のTさんが尊敬していてお世話になっているエライ人だし、パッと見「理屈っぽくて気難しそうな人」という印象があったので、やっぱりご機嫌は損ねたくありません。だって本を出版できるかもしれないのに些細なことで先生が心変わりしてしまったら、元も子もないじゃないですか?

世間は消費者被害に会う人を「甘い」と思うかもしれませんが、物事の経緯には人情的に色んな事情が絡んでいるので、一概に批判するのは気の毒だと思いますよ。

さて、時間を元に戻しましょう。

打合せで先生は「社員教育について困っている会社が仕事先でいくつかあるので少し話を聞かせ欲しい」と言いました。漠然とそう聞かれても何をどこからどう話せばいいかわからないので、その通りに伝えたら、横からTさんが「ほら、〇〇の話とか××の話とかあったでしょ?」と促してくれました。

実は私は、Tさんが自分の顧客向けに発信しているメルマガの執筆者の一人でもあったため、Tさんは私から受け取った原稿を通して、私が担当した事案や様々なエピソードを知っているんですよね。

「あぁ、あの話ですか?」と言って、私は先生にそれらのエピソードや顛末を伝え、自分の所感やポリシー、社員教育のポイントなども話しました。TさんはICレコーダーを出して録音していました。

ですが、多少の質疑応答はあっても、最後まで本の話は出なかったので、事前に聞いていたTさんの話とは異なり、やはり私の本ではなく自分で出す本の取材なんだろうと思いました。

私自身はそうやって自分の話が無断で他人に引用されてもあまり気にならないほうだし、社名や個人名や場所や業種など相手先が特定できる情報は一切出していません。それにTさんのメルマガ用に原稿を書いた時点ですでにアレンジが入っているので、これらの話がもし本に書かれたとしても当事者にはバレないし、特に問題はないように思いました。

 

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